子宮頸管無力症とは?前兆?予防できる?原因は?

皆さんは《子宮頸管無力症》をご存知でしょうか?子宮頚頸管無力症と診断される方は約1500名に対して2%未満となっており、少なく感じますが特別なことではありません。自覚症状がないので、特に初産婦の方は気づきにくい傾向にあり、早産の原因になることもあります。

子宮頸管無力症とは?

子宮口の近くの細長い部分を子宮頸部(けいぶ)といい、中は頸管という筒状になっていて、分娩時には広がって赤ちゃんが通って出てきます。

要は、子宮の出口にあたる部分です。妊娠中は通常、子宮頸管はしっかりと閉じていて、子宮の中の胎児を保持しているのですが、妊娠して胎児が大きくなってくると、頸管は内側から開いてきて、知らないうちに子宮口が開いてしまい、流早産となってしまうことがあり、これを頸管無力症といいます。

子宮収縮が強く起これば、誰でも子宮口が開きますが、収縮がなくても開くのが特徴です。通常、流・早産の徴候(不正出血や陣痛様の腹痛など)を自覚しないままに子宮口が開大してしまい、胎児娩出に至ってしまうことも!

頸管が開大してきている場合であれば内診や経膣式超音波で頸管無力症を診断することはできますが、たいていは病態が進行してきてから発見されることが多く、これを未然に予防することはまず不可能と言われています。では前兆はあるのでしょうか?

前兆はある?

子宮頸管無力症は子宮頚管が緩み始めた時点では特に自覚症状はありません。

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画像引用元:レディースホーム

ある例では少量の出血があったというのが一番多く、お腹が張るという意見の体験記もありました。しかし、初めての妊娠や、初めての症状の場合、こんなものなのかと経過観察するということがあり、病院に行ったときには手遅れだったという事も多く、やはりほとんどが気付かないパターンが多いようです。

進行して徐々に子宮口が開くと、赤ちゃんが下りてきてしまうため、切迫流産や切迫早産になり破水が起きます。近年は経腟超音波で子宮頸管長を測り、子宮口が開く可能性があるか診断します。

子宮頸管長を見ると、外子宮口が開いていない状態でも、内子宮口が開いているかどうかがわかり、早期発見が可能です。妊娠15~20週頃の妊婦健診で経膣超音波検査を行うことで、子宮頸部の状態が分かるため、経腟超音波検査は重要なんです!

前兆を感じる事が少ないので本当に怖いですよね・・・。予防が出来るのであればしたいところですが、予防対策はあるのでしょうか?

予防策はある?

子宮頸管無力症には自覚症状がないので、予防することも難しいそうです。なのでまずは妊婦検診を毎回きちんと受けることが大切。以前の妊娠で子宮頚管無力症になった方などは、予防的に手術を行うことが可能です。

また妊娠初期~中期の早い段階で子宮頸管無力症と診断された場合は、子宮頸管縫縮術を施行することもあるようです。子宮頸管縫縮術には「シロッカー法」と「マクドナルド法」の二つがあります。

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画像引用元:レディースホーム

※子宮頸管縫縮術とは、子宮頸管を糸やテープで縛る手術のことです。手術は、数日の入院で済みます。それでは、子宮頸管縫縮術とはどのような手術なのか見ていきます。

「シロッカー法」シロッカー法とは、子宮頸管の上部(子宮に近い場所)を縛るものです。この方法は、後でテープが除去しにくいですが、より子宮に近い所を縛るので、赤ちゃんが下りてこないようにする効果が高いと言えます。妊娠36週に抜糸し、陣痛を待っての自然分娩が可能です。

「マクドナルド法」マクドナルド法とは、子宮頸管の下部(膣に近い場所)を縛るものです。この方法は、陣痛が起きてから抜糸した場合でも、自然分娩が可能です。基本的には、妊娠36週で抜糸して陣痛を待ち、自然分娩に持ち込みます。

1人目で子宮頚管無力症と診断された方の場合、2人目の妊娠を迷ってしまうこともあるようですが、予防的手術を行ない子宮頚管無力症でも元気な赤ちゃんを産んでいる方はたくさんいます。

安静にしなければならない期間が長期にわたる可能性も高いため、早産・流産の危険性が高い場合は、トイレや食事以外は横になって体を休めるのが理想的。その為、仕事や家事、育児等について、お医者さん、パートナーとよく相談しておくことが大切そうですね。

中には子宮頸管縫縮術を施行せずに、自宅または病院にて安静にするケースも多いようです。早産・流産を防ぐために、家族の皆さんにも協力してもらい、家族全員で赤ちゃんを守りましょうね。最後に子宮頸管無力症の原因をお話しします。

原因は?

子宮頸管無力症の原因は、もともと子宮頸管の筋組織が弱い体質である、または先天的に子宮頸管が短いためだと言われています。他の原因としては、子宮頸管にダメージが残っていることが考えられます。

例えば、過去に子宮頸管の手術をしたり、流産や中絶を経験したり、前回の妊娠で裂傷したりした場合、早い時期から子宮頸管がゆるくなってしまうことがあるのです。他にも難産であったり赤ちゃんが大きくて子宮頚部に傷のできている場合や(頚管裂傷)、子宮奇形、頚官短縮などの先天的なもの、さらに子宮筋腫、多胎妊娠、羊水過多、頚官炎なども挙げらます。

そして原因不明によるものも少なくありません。過去の経験から上記内容がある方は特に注意が必要ですが、未だに出産に関してはわからないことが多いので少しでもおかしいな?と思うことがあれば病院に行ってくださいね!

手術の時期

Q.最初の妊娠は事情があって人口中絶、2度目の妊娠ははじめは順調でしたが、妊娠18週(5ヵ月半ば)で突然破水し流産してしまいました。そのときの原因は頸管無力症と診断され、次の妊娠の時には、子宮口をしばる頸管縫縮術をうけるように言われました。今回また妊娠をしましたが、いつ頃その手術をうけたら良いでしょうか?(妊娠8週=3ヶ月)

A.子宮筋腫などの合併症のない妊娠で妊娠中期に龍早産を2回以上反復した場合は、妊娠歴から頸管無力症が最も疑われます。ただ、1回の中期流産だけで頸管無力症とは診断できませんが、今回の妊娠中の内診所見で、子宮口の開大傾向がみとめられたそうですから、速やかに頸管縫縮術を施行すべきであると考えます。その時期は前回流産した時期の約1ヵ月前ぐらいがよいと言われています。(住吉好雄)

マクドナルド法の場合の費用~

3泊4日の入院の場合、産院によっても異なりますが、自己負担額は5万~6万円だったという入院経験者が多いようです。
(産院によっては別途ベッド代などがかかります)

自己負担分は、医療控除や自治体によって妊婦助成制度の対象になる可能性もあります。
民間保険に加入している方は、契約内容次第では保険適用になるかもしれません。確認してみてくださいね。